乾くるみ/イニシエーション・ラブ

乾くるみ/イニシエーション・ラブ
オススメ度(80点/100点中)
前回、東野圭吾の『変身』を読んだことで読書魂に火が付いた。そこでさっそく新しい本を購入。
先日読み終えた本『変身』は、「最後の一行で涙が溢れる物語」。そして次に読んだ本『イニシエーション・ラブ』は、「最後の二行で全く違ったものに変貌する物語」。前者は個人の感想をお借りしたものだが、後者は裏表紙のあらすじにはっきりと記載されているのだ。こんな引力があるあらすじがあります?自分はあっさり引き寄せられた。

ある日、代打で呼ばれた合コンで僕はマユと出会う。二人は恋に落ちて・・・。

読んでいる人は思ったでしょう。ごくごく平凡な恋愛小説だなと。特別魅力的な登場人物もいないし、話としてもありそうだなーと。自分もそう思った。初々しいなーほろ苦いなー羨ましいなー

しかし、忘れてはいけません。著者の乾くるみミステリー作家であり、これはミステリー小説だということを!

自分が最後の二行にたどり着いたのは、電車で読んでいる最中だった。最後のページを開いたときに、右のページを読みつつも、物語の終わりを告げる左ページの少し広めの余白を視界の端でとらえていた。そして最寄り駅に着くと同時に最後の二行を読み終え、本を閉じて改札へ歩き出した。

・・・・?

すぐには理解できなかった。しかしもの凄い違和感が頭の中をかけ巡った。そのまま歩き続け、改札を通り、駅も出たときにハッと気付いた!いてもたってもいられなくなり急いで家に帰り、文末の解説を読み、もう一度目次へ戻った。

この本はとてもよく考えられ、計算された物語であり、そして伏線もまんべんなく散りばめられている。先ほども言った通り、恋愛小説として読むならごく平凡である。しかし、あなたが最後の二行を読んだとき、この物語をここまで読んで思い浮かべている感想が全く違ったものへと変わるはず。