下町ロケット/池井戸潤

下町ロケット/池井戸潤

オススメ度(80点/100点)

ドラマ『半沢直樹』で世間を賑わせた池井戸潤直木賞受賞作品。
ロケットエンジン研究者の佃航平は、ロケット打ち上げの失敗が原因で研究者の道を諦め、家業の町工場・佃製作所を継ぎ七年が経っていた。
そんな中、経営順調だった佃製作所に苦難が襲い掛かる。大口顧客からの取引停止、競合企業から特許侵害の訴え、ロケット開発の大企業・帝国重工からは特許技術の買取を打診される。特許技術を売れば資金難を解消できるのだが、佃航平のかつての夢が、プライドが、簡単にそうすることをさせなかった―。

企業小説をあまり読んだことがなかったため、題材事態が新鮮で魅力的なものだった。
だって宇宙だよ?ロケットだよ?男なら一度は夢みて憧れるものでしょう。歳を重ねるにつれて自分とは遠い世界なんだと気付いていくけれど、それでも胸の奥そこにひっそりと眠っている憧れ。そんな気持ちを揺すられているようだった。

作品を通して印象的だったのは、佃製作所の社員たちが自社製品の品質にかける誇りである。
自社製品の品質に問題があれば会社そのものの信頼を失うことになる。だからこそ自分たちの技術力を信じて最高品質のものを作り出す。
やるなら徹底的に!だ。

自分もエンジニアとしてこうあるべきだと思った。過去に少しでもいい加減な仕事をしていないか?と問われた時に、自信を持ってYESとは言えないなと。新年一発目に読み気持ち新たに今年を過ごすには最適な小説だ。

そして、自信の仕事に誇りをもって妥協しない一年を過ごそう。そう思わせてくれる作品だった。
池井戸潤の他の作品も読んでみたいと思う。

下町ロケット (小学館文庫)

下町ロケット (小学館文庫)